私の無慈悲でない神様

なんとなく生きられればそれでもいい

感性の信頼できない語り手

皆さんは自分の感性を信頼できるだろうか?

私ははっきりと「イエス」と言える。

 

いわゆる「打ち切り漫画愛好家」「B級映画愛好家」はなろうと思えばいつでもなることができる。切り口が鋭く、面白い解説や紹介をする人はこの世に何人もいるし、何より気を抜いて楽しむことのできるジャンルなので非常に入り口が広いように思える。

私自身もそのテの人間のうちの一人なのだが、私の場合はなるべくしてなった、と言うほかない。

 

子供のころから、打ち切り漫画ばかりを応援し人気の漫画には目もくれない人間だった。

皆さんは「フープメン」という漫画をご存知だろうか。

2009年に週刊少年ジャンプで連載していたバスケ漫画で、主人公はバスケ部に入部したアメリカ人生徒の通訳としてバスケ部にスカウトされ入部する…という漫画だ。

主人公は至って普通の人物で、バスケにもさほど興味がない。バスケ部の救世主などとしてスカウトされた主人公だが、要するに「超強い英語しか話せない選手の通訳」として「救世主」と称され、意気消沈してしまう。だが次第に通訳としての役目だけではなくバスケにも興味を持ち、努力していく…というストーリーで、かなり斬新で面白い導入の漫画であることが分かる。

 

だが、この漫画の連載時期を思い出してほしい。

 

この漫画は2009年、つまり週刊少年ジャンプで「黒子のバスケ」が連載されていた真っただ中に連載を開始したバスケ漫画なのである。*1

 

つまりフープメンはこれから黒子のバスケがどんどん頭角を現していこうとしている真っ最中に、あろうことか同じバスケ漫画として土俵を踏まされることになっていた。結末は皆さんすでにご存じの通りだろうが、フープメンは17話連載*2で打ち切られている。

 

フープメンの連載が始まった時、私は心の底からこう思った。

 

「あ~、黒子のバスケは残念だけど打ち切りだな。フープメンが面白すぎる」

 

結果は皆さんがすでにご存じの通りだ。黒子のバスケは「ちょっと人気だった」漫画どころではなく、既に日本のバスケ漫画の一柱を担う作品となった。

 

BOZE BEATSという漫画をご存知だろうか。

2018年7号から週刊少年ジャンプで連載された退魔モノアクション漫画だ。

2018年と聞いて、賢明な方はもうお気づきかもしれないがそのたった7週間後にあの「呪術廻戦」の連載が始まってしまった。どっちも大枠では退魔モノだ。

呪術廻戦を読んだ時の私の感想はこうだ。

 

「残念だけどBOZE BEATSがもうジャンプにいるからな。呪術廻戦は打ち切られちゃうだろうな」

 

週刊少年ジャンプはこういう残酷な生存競争をさせることがあるが、私はどの漫画を読んでも大体打ち切られるほうを応援している傾向にある。

 

ぼっけさんもダブルアーツも気が付いたら連載終了していたし、たくあんとバツの日常閻魔帳も終わっていたし、ノアズアーツも終了。

最近で言うとクーロンズ・ボール・パレードも連載終了してしまった。

 

私は漫画としては短命な道をたどることの多い漫画ばかりを好んで読んでいるのである。

これはどういう事かと言うと、私のセンサーが実に正確であることを表している。

私の感性は本当に信頼できるのである。

 

 

*1:この頃の黒子のバスケステーキ屋お好み焼き屋?)に行ったりする回だった記憶がある

*2:期間にして約4か月に満たない