私の無慈悲でない神様

なんとなく生きられればそれでもいい

服しかないセカンドストリート

無職になって今まで以上に暇になってしまったので、いい機会なので散歩を趣味にすることにした。

音楽を聴き、寄り道しながら歩いていると2kmくらいはあっという間だ。

 

ふと思い立って、少しだけバスに乗って見知らぬ土地に降りて、そこから散歩をしてみることにした。

見たことのない民家、見たことのない店、地名が並んでいる。バス停の名前に至っては「なぜこんな名前を?」というものが多い。同じ市内なのに、バス停の名前はその地域のオリジナリティの濃いものが多いと思う。

 

バス停を降りて1kmくらい歩くと、セカンドストリートがあった。

電化製品からおもちゃ、服まで売っているリサイクルショップだ。私はリサイクルショップが好きだ。見たことのないものが売っていればワクワクするし、見たことあるものが変な値段で売っていれば面白くなる。手元にあるデバイスもなぜか一回価格を確認したくなる。

子供の頃にディズニーランドで買って貰ったおもちゃなんかに出会うと、電撃が走る。これ持ってた。冬のディズニーで、パレードを観ながら振った光る棒。

ただ無邪気に、〇十年後に無職のプー太郎になっていることを想像すらしなかったあの頃の楽しいディズニーの思い出がよみがえる。

 

ただ私がたどり着いたセカンドストリートは比較的規模が小さく、そんなに多くのものがなく10分程度で見終えてしまった。めぼしい収穫と言えば前の会社*1の備品整理の際にタダで貰ったAlexaが1000円で売っているのを見つけたくらいだ。

 

マップを見ると、さらにここから歩いたところにセカンドストリートがもう一軒あることに気付いた。そこまで足を延ばして、帰りは途中のファミレスでお茶でも飲んでから帰ることにしよう。

 

5月ともなると草木の生い茂り方が尋常ではなく、コンクリートが敷かれている比較的大きな道路沿いのくせに野道を歩かされている気分だった。

草がロングスカートから出ている足首をくすぐったので、いつ虫が足首に張り付いてもおかしくないと思うと恐怖で仕方なかったので、知らない野道と化した道を少し速足で駆け抜ける。

 

そこに服だけのセカンドストリートはあった。

店の敷地はさっきの店よりも広く、雰囲気も明るい。人もさっきのセカンドストリートより多い。

けどそこには服しかなかった。

服しかないセカンドストリートは、求めている出会いがないのだ。

ああ、セカンドストリート。どうか服以外も置いてあれ。

誰が一体いくらを受け取って売ったかわからない100均の商品が80円で売ってあれ。

2008年とかに売られたノートパソコンが生意気にも1万円超えの値段で売ってあれ。

これはメルカリならもっと安く買えるよ~と相談している夫婦の憩いの場所であれ。

日の暮れたころ、私は野道と化した道を引き返し、ファミレスで予定になかったポテトフライを食べて帰った。

 

*1:クビになったとこ